目に見えない細菌からの感染は怖いものです。
しかし、黄色ブドウ球菌は普段私たちの身の回りにいる常在菌であり、防ごうと思ってもなかなか防ぎきれないのが現実です。
黄色ブドウ球菌による感染を防ぐためには、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。
防虫、防鼠対策を行う
黄色ブドウ球菌は、食物に入り込むとエンテロトキシンと呼ばれる毒を放出し、それを人間が食べることで食中毒を引き起こします。
特に夏場など食品が傷みやすい時期には、容易に食物の中へと入り込みやすいといえるでしょう。
そこで重要になってくるのが、防虫、防鼠対策です。「虫が沸く」という言葉どおり、食物が腐る最初は虫がたくさんよってきます。そして、食物のなかに卵を産み付けたり食べてしまったりして、腐敗を進行させていきます。
また、鼠にも注意が必要です。近年あまり表立って見かけなくなりましたが、飲食店や古い家屋などでは鼠が発生しているところも少なくありません。鼠はさまざまな感染症の元となる菌を体内にもっているキャリアであることは有名です。ひとたび鼠に食べられ、接触してしまった食物は、さまざまな菌に冒されている危険性があるといってもいいでしょう。
こうした中、黄色ブドウ球菌はますます繁殖しやすくなってしまうのです。食物は冷蔵庫に入れたり、作り置きをしないなど、できるだけ虫が発生しないよう管理していくことが重要です。
また、すこしでも腐りかけていたら、まだ食べられると思わず、思い切って捨ててしまうことが重要となってきます。鼠に関しても、表に出ている食物を食い荒らしますから、できるだけ戸棚や入れ物に入れ、蓋をしっかりとしめて侵入を防ぐことが大切です。
そして、普段から台所や流しなど水周りを片付け、清潔に保つことで、ひいては黄色ブドウ球菌の感染を防ぐことができるのです。
調理時に注意すること
調理時についてですが、手や指に痒みがある場合、また化膿している場合は、食品に触れないよう注意してください。
朝起きたときや、ふとしたとき、手足をみてみると、いつの間に指されたかわからない痕やただれができていることは、毎日生活しているとたまに見かけます。特にそうした部位が熱を持って腫れていたり、化膿して膿がたまっている様に見受けられたりする場合には、注意が必要です。
黄色ブドウ球菌は人間の皮膚にも生息している常在菌ですが、常在菌の中ではやや毒素が強い部類に入るもの。皮膚のバリアがしっかりとしている場合にはなんともありませんが、ひとたび傷口から侵入すると、毒素を放出して患部を腫れさせたり膿がたまったりします。
特に、初期症状として、赤い発赤がでてかゆみを伴うことも少なくありません。こうした症状が見られた場合、傷口を中心として、黄色ブドウ球菌が繁殖している可能性が高いということができるでしょう。この状態で、そのまま食物をわしずかみにしたり調理をすると、黄色ブドウ球菌の毒素がせっかくつくった料理に混入してしまいます。この毒素は熱にも強いことがしられていますから、繁殖したまま口に入る可能性が高いです。大切なことは、料理をする際にしっかりとアルコールやハンドソープなどで消毒をすることです。そして、一度乾かしましょう。
また、傷口を伴う場合には、しっかりとテーピングなどでガードした上で、その部位が直接触れないように気をつける必要があります。ひどい場合には、病院にいって抗生物質を処方してもらうことで感染自体もかなりおさえることができるでしょう。
また、まな板などの調理器具の殺菌消毒も欠かせません。
強いアルカリ電解水で汚れを落とすと同時に除菌ができますが、そのあとに次亜塩素酸水で拭くことにより、ウイルスや菌などの微生物をほぼ死滅させることができます。
夏場の食品の扱い
黄色ブドウ球菌は、経口で摂取する食物から感染するケースがもっとも多いといわれています。夏場はとくに食物が痛みやすく感染の危険がありますから、対策をする必要があります。
夏の間は作り置きをしないことが一番です。一度火を通したり、かこうしたりした食物は、たとえ真水であってもだんだんと腐敗していきます。
ましてさまざまな栄養素を含む食物であれば、その傷む速度はかなり速いといえるでしょう。
夏場においては、できるだけその日に購入した新鮮な食材を使用して調理をするようにしましょう。
また、卵や肉といった、比較的傷みやすい食材をできるだけひかえ、念入りに火をとおして食べることが重要となってきます。そして、食事を作った後はとっておかず、なるべく一回で食べきるように心がけることが大切です。どうしてもとっておく必要がある場合には、必ず冷蔵庫に入れて冷やし、常温で放置しないようにしましょう。食べ終わった後の食器類はできるだけ早く洗い、生ごみなど新たな感染源となるものは、袋に分けて密封し、早めに捨ててしまうことが大切です。次亜塩素酸水などは消臭や除菌も可能です。最近では低価格で入手できるのでおすすめです。次亜塩素酸水の作り方なども興味があればどうぞ!
まとめ
普段何気なく自炊をする中でも、黄色ブドウ球菌に感染しないように心がけるポイントというのは結構あるものですね。
せっかくのおいしい食事で身体をこわしてはどうにもなりませんから、ぜひ参考にしてみてください。