外から帰ってきた子どもが身体をぼりぼりとかきむしり、気がつけば全身に水ぶくれが広がっている。子どもがいらっしゃる家庭では、特にポピュラーな出来事かもしれません。ここでは子どものとびひについて紹介していきます。
とびひって何?
「とびひ」という言葉はよく効きますが、具体的にどういう疾患なのでしょう。
とびひは愛称であり、正しくは伝染性膿痂疹といいます。
もともと皮膚に傷のある人が、汚れた手やつめなどで引っかくために、傷から細菌が侵入して皮膚の炎症をおこし、それが広がっていくものを言います。
全身に広がる様子がまたたくまに火が回っていく様子に酷似していることから、飛び火=「とびひ」という愛称で呼ばれています。
とびひの原因は?
とびひの原因はどういったものなのでしょう。それには、黄色ブドウ球菌という細菌がかかわっています。
ぶどうとつくこともあって一見かわいい印象をうけますが、実際には少し強めの毒素を持っている菌なのです。
私たちの身体や口の中などさまざまな場所に目に見えない細菌は住んでいますが、黄色ブドウ球菌もその仲間です。普段であれば悪さをしません。
しかし、身体に転んで傷ができたり、あせもや湿疹の部分を菌のついた汚い手でさわると、簡単にそこから入り込み腫れてしまいます。
このとき、黄色ブドウ球菌はエンテロトキシンとよばれる毒素を放出することで、より炎症が強くなってしまい、体中に「とびひ」してしまうのです。
とびひの症状は?
とびひが発生すると、身体にどんな変化がみられるのでしょうか。傷やあせもなど、皮膚の構造が壊れているところから入り込むため、もともとの変化に加えてその周囲が赤くただれたようになってきます。
そして、感染がすすむと周囲の組織が腫れて痛みを伴うようになります。ひどい場合にはやや黄色く変色することで膿を内包することもあります。
全体的にはジュクジュクした感じよりは、乾いてただれたかさぶたのようになることが多いですが、一度感染してしまうとこのかさぶたが全身へと広がってしまいます。
とびひの治療は?
とびひは黄色ブドウ球菌による細菌感染症ですから、細菌にきく抗生物質、正しくは抗菌剤という薬を使用して行います。
ペニシリン系の薬剤が有効に聞きますが、近年耐性菌の問題もでてきており、なかには効かない場合もあります。そうしたときには、テトラサイクリン系とよばれる別の種類の抗生物質を使用するなど、菌に効果があるものに切り替えて治療をしていきます。
また、薬で内側からの治療だけでなく、傷を負った皮膚部分に関しても、湿布や外用薬などを用いて外部から保護し、皮膚のバリア機能を正常に維持していく治療を行います。
外と内両方からの治療により早期に感染を抑えて治していくのです。
まとめ
子どもはいたるところを引っ掻いたり、きたない場所であそんだりすることもあって、とくに感染のリスクとしては高い傾向にあります。
十分に遊ばせてあげつつも、とびひに対して知識は仕入れておいて、いざというときには正しく活用したいですね。