黄色ブドウ球菌が感染した食物を口から摂取することで、健康な人でも食中毒になる可能性があります。
では、もし黄色ブドウ球菌によって食中毒になってしまった場合、具体的にはどのように治療を行っていくのでしょうか。
抗生物質投与
黄色ブドウ球菌が食物と一緒に体内へ侵入すると、激しい下痢や嘔吐、腹痛といった症状が現れます。これらは、黄色ブドウ球菌がエンテロトキシンという毒素によって体内からダメージを与えているためです。
この黄色ブドウ球菌は菌の中でも熱に強く、ほうっておくとさらに自らを複製し、多くの毒素を放出し始めます。俗にこれが「感染」という言葉で表される状態です。
通常、黄色ブドウ球菌における食中毒には、特段な治療はせず、輸液などの対処両方を実施していくことが基本です。しかし、非常に体力が落ちていたり、高齢者などで肺炎やその他の感染症が考えられる場合など、薬剤を使用することがあります。
抗生物質という言葉を聴いたことがある人は大勢いらっしゃるでしょう。正確には、黄色ブドウ球菌のような菌にきくものなので、抗菌剤というのが正しいでしょう。
アイスノンで発熱を抑えたり、水分を補充したりといったいわば対症療法に加えて、抗菌剤によって原因となる黄色ブドウ球菌自体を攻撃し、感染を快方へと導くことができます。
一般的な生活空間での感染を市中感染といいますが、この場合でも、現在検出されるものの多くはペニシリン系の薬剤に耐性をもっていることがわかっています。院内で発症するMRSAともなるとその多剤耐性は非常に広範囲にわたっていることも多く、基本的には一度薬剤感受性試験というものを実施し、それにより使用する薬剤を決定していくのが基本となります。
セフェム系やバンコマイシン、ストレプトマイシンなど、さまざまな抗生物質が使用されます。
食事制限
食中毒のほかに、もうひとつ黄色ブドウ球菌に関して非常にポピュラーな症状があります。それは皮膚炎です。
黄色ブドウ球菌がエンテロトキシンを産生する事はもう説明しましたが、皮膚に傷などがあるとそこから菌と毒素が入り込み、炎症を起こすことがあります。この症状が慢性的となると、皆さんのよく知るある症状に非常ににてくることとなります。
そう、アトピー性皮膚炎です。黄色ブドウ球菌が増殖し、その菌がついた手で引っかくことで、余計に病態を悪化させてしまいます。この負のスパイラルをうまく乗り切るには、普段の食事に気を使っていくことがもっとも大切となります。スナック菓子や脂っこいもの、添加物が多量に使われたものなどを控える必要があります。
そして、野菜もしっかりと摂取し、バランスのよい食事を心がけましょう。これらの食事改善により少しずつではありますが、体内の免疫システムを正常化し、増えすぎた常在菌のバランスも改善するのではないか、といわれています。
黄色ブドウ球菌を治療するということは、皮膚に限って言えばアトピー性皮膚炎の予防も同時に行い、余計な刺激を与えない環境を作ることが大切なのです。
まとめ
単純に抗菌剤などの薬剤ですっきり治る以上に、さまざまな影響が身体に出ることがわかりますね。
アトピーや多剤耐性といった負のスパイラルを生まないよう、日ごろから身体に優しい生活を心がけていきましょう。